2月6-10日の日程で、モンゴル国に訪問しました
今回は、アジア共創教育研究機構融合プロジェクトによる「モンゴル国におけるこどものこころの専門家養成カリキュラムの開発」の一環として、モンゴル国の子どものこころの診療の現状把握と、現地関係者との協議を主たる目的として活動をしました。本学親と子どもの心療科の加藤秀一助教にも同行いただき、子どものこころ専門医の育成を行っている立場から、本プロジェクトへの助言・指導を行っていただきました。
まず、モンゴル国における精神科医育成の責任者であるモンゴル医科大学精神科ヒシゲ教授、オユンスレン講師との面談を行いました。モンゴル国における子どものこころ専門医制度について、モンゴル国の精神科医療の現状を踏まえながら、活発な議論が行われ、大枠について合意が得られました。
その後、いくつかの関連施設の視察をさせていただきました。
国立精神病院では、児童精神科外来および病棟を見学させていただき、児童精神科責任者のジェルンドルゴル先生から、モンゴルでの現状を伺うことができました。
日本モンゴル教育病院では、小児科の病棟・外来を見せていただき、小児科の先生からお話を伺いました。日本モンゴル教育病院は2019年に日本の援助でできた総合病院です。国立医科大学の付属病院の位置づけとして、教育や研究の場でもあり、先進的な医療機器も導入されているそうです。精神科は入っておらず、必要がある場合は国立精神病院に依頼をする、とのことでした。
国立母子保健センター(小児病院)は、小児専門の総合病院で33の診療科があります、
発達の遅れや偏りのある子どもは、小児神経科で診療を受けています。モンゴル各地から患者さんが訪れていて、家族や心理的な問題を抱えているケースも少なくないとのことでした。そうしたケースは、院内にある相談センターに紹介がされていました。
国立母子保健センター内の相談センターでは、心理職、社会福祉士などにより、院内外の相談を行っています。
院外からは、思春期の問題や虐待などの問題を持つケースが多く相談されています。5名のスタッフで年間3000-4000件の面接を行っているとのことで、大変お忙しい様子でした。ここには心理職が働いていて、心理的なアプローチを担当していましたが、精神科医は病院全体としてもいらっしゃらないとのことでした。
その後、モンゴル教育大学の先生方とも共同研究についての協議を行いました。
田中ビネー知能検査開発及び検査者養成研修会の開催、発達障害児の現状把握研究に加えて、子どものこころの診療を行う専門家育成プロジェクトも行っていくこととなり、今後もますます活発に活動を行っていきたいと思います。