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活動内容

活動内容

  • 地域連携
  • 国際協力
  • 相談事業
  • 多職種協働

地域連携

幼児期からの発達支援システムの構築(5歳児健診プロジェクト)

現行の健診システムでは、3歳児健診の後、就学直前に行われる就学時健診まで児童全体へのチェックが行われていません。このため、明らかな発達の遅れが認められない発達障害に関しては、就学後に問題が顕在化して、不適応を起こすケースが問題となっています。そういったケースでは、二次的に心理的な問題を合併し、支援が困難となることもしばしば見られます。文部科学省の調査(2012)では、通常学級に在籍する小学生の7.7%に発達面の問題が認められるとされており、学校現場でも大きな問題となっています。

こうした問題に早期に対処するために、2008年度より愛知県蟹江町と協働で、5歳児健診を中心とした幼児期から児童期に向けた発達支援システムを構築し、その効果を評価・検討するための研究を行っています。
発見支援システムは、以下の事業から構成されています。

  • 発見:5歳児健診
  • 評価:発達相談、園巡回訪問
  • 支援
    • 年長児グループ療育(就学に向けたソーシャルスキルトレーニング)
    • 相談 (心理、ことば、教育、医療)
    • サポートブック作成講習(親による学校への情報提供書の作成)

この事業は、名古屋大学の研究事業として始まりましたが、現在は町の事業として継続して行われています。

発達支援システム

(赤枠内は、本システムで追加された事業)

子どもの発達の長期フォローアップ調査(幼児期から思春期)

本事業の効果を明らかにするために、5歳児健診受診児の長期フォローアップ調査を行っています。
同町の2004-2007年度出生児を対象にして、小学1年、5年、中学2年の時点に、保護者と学校の担任の先生にアンケートへの回答をお願いしています。また、子どもの授業の様子を観察するとともに、担任の先生からクラスの児童・生徒の様子を聞かせてもらっています。
こうした調査の結果から、幼児期に発達に心配のあった子どもの経過や、就学後に不適応を起こす児童や早期支援の必要な児童のタイプなどについて明らかにしていきたいと考えています。

子どもの発達の長期フォローアップ

学習に困難のある児童への支援(学校教育との協働)

小学校の通級指導教室と協働して、学習に困難のある児童への支援研究を行っています。
学習に関するアセスメントを行い、支援方法や教材の検討を行い、通級指導教室の場を用いて支援を行い、その効果を検証しています。 こうした試みを通して、子どもの特性に合わせた学習支援の在り方を検討しています。

学校教育との協働

国際協力

モンゴル

2013年より、モンゴル国立教育大学と協働でモンゴル国における発達障害児支援研究を展開しています。

名古屋大学モンゴル国立教育大学子ども発達共同支援センター 開設

モンゴル国における発達障害児支援の実践・研究の拠点として、2016年9月に、モンゴル国立教育大学内に、「名古屋大学モンゴル国立教育大学子ども発達共同支援センター」が開設されました。

名古屋大学モンゴル国立教育大学子ども発達共同支援センター

センターの運営は、モンゴル国立教育大学教員養成学部と名古屋大学心の発達支援研究実践センターが協力して行っています。
センターには、発達相談室、プレイルーム、スタッフルームがあり、相談部門と研究部門が配置されています。相談部門では、適切なアセスメントに基づいた発達相談を行い、臨床研究と人材育成に寄与しています。研究部門では、アセスメントツールの開発と臨床研究、子どもの発達に関する国際調査研究を行っています。双方が有機的に働きながら、人材育成と情報発信、地域連携を中心とした地域貢献を行っています。

子ども発達共同支援センターの活動

(1)モンゴル国の子どもの発達やこころの問題に関する相談活動

センターには、相談室およびプレイルームがあり、実際に発達やこころの問題に心配のあるお子さんとその家族への発達相談活動を行っています。活動にあたり、名古屋大学心理発達相談室で用いられているフォーマットやシステムを参考にして立ち上げを行いました。
相談活動は、当初は名古屋大学の臨床心理士や児童精神科医師がモンゴルに訪問して、モンゴル側スタッフと一緒に行っていましたが、2018年より、モンゴル教育大学スタッフが現地で相談を実施し、その後オンライン会議を用いて名大スタッフと検討するやり方で相談を進めています。こうした相談活動を通じて、モンゴル国の子どもの発達やこころの問題を支援する専門家育成を行っています。



(2)モンゴル国における子どもの発達を評価するツールの開発

子どもの発達を支援するためには、発達状況を正確に知ることが不可欠ですが、同国には子どもの発達を評価する標準化されたツールがありませんでした。このため、2016年より、日本で広く利用されている田中ビネー知能検査Ⅴのモンゴル版開発を行ってきました。
モンゴル国で初めてとなる標準化された知能検査である「田中ビネー知能検査モンゴル版」が、本プロジェクトとモンゴル国立教育大学の共同研究のもと、JICAの支援も得て、2020年に完成しました。この検査は2歳から12歳の子どもの知能を測ることができ、発達に支援の必要な子どもにとって重要なツールとなるものです。
2021年度からは、子どもの発達支援に関する専門人材が十分ではないモンゴル国の状況を踏まえて、検査の普及と適切な利用を図るために、検査者養成カリキュラムを開発し、研修会を開催しました。研修会は、セーブザチルドレンの協力も得て、2021年度は5-6月、9-10月、1-2月の3回行われ、計50名に対して修了認定を行いました。検査者養成課程を修了したのは、モンゴル国内で心理士、医師、教員などの専門職として実際に子どもの支援を行っている方々で、その後既に現場で検査を活用しているとの話も伺っています。検査者養成研修は今後も継続実施する予定です。

(3)モンゴル国における子どもの発達に関する共同研究の実施

モンゴル国における子どもの発達に関する問題を把握するための調査研究を行っています。
2015-16年に、モンゴル国の小・中学校教員を対象としたアンケート調査を行いました。その結果、モンゴル国においても、支援が必要と考えられる児童・生徒は数多く認められ、その中には、多動、集中力欠如、対人トラブルなどの発達障害特性と関連すると思われる問題が含まれていることがわかってきました。
2022年度は、モンゴル国立教育大学とモンゴル国立医科大学との三者共同研究で、モンゴル国における発達障害児の実態調査を行う準備を進めています。モンゴル国にはスクリーニングツールが存在しないため、国際的に広く使われているC.ギルバーグの質問紙のモンゴル版を作成して4000人を対象に保護者及び担任への質問紙調査を行い、その中の一部のケースについてモンゴル国の医師による診断面接や田中ビネー知能検査を行って、発達障害児の実態を調べることを予定しています。

(4)モンゴル国における発達支援に関する専門家養成・啓発活動

モンゴル国における発達障害及び支援に関する知識・技量の向上のために国際会議、専門家向け研修会を年数回実施しています。
研修会に合わせて、子どもの発達支援者向けの専門書を発刊しました。これはモンゴル国立教育大学と名古屋大学のスタッフが協働で執筆したもので、発達に支援が必要な子どもに対する発見・支援に関する実践的な内容が書かれているものです。



ベトナム

アジアにおける発達障害児支援研究の一環として、2018年度よりベトナムの専門家・ 行政機関との学術交流を行っています。
ベトナムの子どもに対する発達支援の現状を把握するために、管轄する教育省、労働傷病兵社会問題省、国立特別教育センターの担当部署との定期的な面談、意見交換、学会での発表などを行ってきています。また、現地小学校や特別支援学校、療育センター等の視察を行っています。
ハノイ医科大学精神科とは、共同シンポジウムの開催、同医科大学主催学会での講演、現地医療機関、教育機関視察などを通じて交流を深めており、共同研究に関する協議を進めています。
ハノイ教育大学特別支援学部とは、共同研究を進展するため、2022年6月~7月に、ハノイ教育大学の Thu 先生を本センターの客員教員として招聘することになっています。

相談事業

ペアレント・トレーニング

ペアレント・トレーニングは、ADHDなどの発達障害を持つ子どもたちの行動を理解して、適切な関わり方を具体的に学習・練習して身につけることを通して、より良い親子関係作りと子どもの適応行動の増加を目的としたグループセッション形式の治療法です。
平成21年度より毎年、心理発達相談室において、発達障害児の保護者を対象に、ペアレント・トレーニングを行っています。

学習障害相談

心理発達相談室において、学習に心配を持つ児童に対する相談活動を行っています。
学習のつまずきの実際を明らかにするとともに背景となる認知面の特徴をアセスメントすることで、その子の特性に応じた学習方法や教材を見つけるサポートを行っています。

モンゴルにおける発達相談

モンゴル国立教育大学内に設置された「名古屋大学モンゴル国立教育大学子どもの発達共同支援センター」内の発達相談室において、発達に心配のある子どもとその保護者に対する相談活動を行っています。
詳細は、「国際協力」のモンゴル(1)をご参照ください。

多職種協働

東海国立大学機構発達障害児支援研究コンソーシアム

東海国立大学機構内における様々な領域の発達障害研究者が集まって、アジアの発達障害研究を展開する機関とも連携して、専門情報の発信や、発達障害児支援システム構築のための学際的な共同研究を展開させ、学術・地域・国際的な観点での社会貢献を追求するためにコンソーシアムを構成しています。
コンソーシアムには、心理学(発達、臨床、認知)、教育学(特別支援)、医学(児童精神医学、作業療法学)、工学などの専門家が参加しており、基礎から臨床まで多様な視点から発達障害児支援研究を展開しています。
2022年度より、発達障害研究の専門情報発信のために、コンソーシアムとしてのウェブサイトを作成し、発達障害の最新研究情報を掲載していきます。
また、発達障害に関する連続セミナーを開催する予定です。

専門家育成

発達障害に関する知識は、様々な職種において必要となっています。特に教育や医療、福祉、行政などの対人支援職においては、発達障害のある方について十分に理解して、特性に応じた対応を行うことが求められます。
本プロジェクトでは、これまでに専門家を対象とした発達障害に関するセミナーや講演会を開催してきています。
2014-16年度には、発達障害に関する教職員育成プログラム開発事業(文部科学省)を受託し、愛知県教育委員会及び愛知県総合教育センターのご協力を得て、愛知県内の小中学校・高等学校教職員を対象とした研修プログラムの開発を行いました。その一部は、本Webサイトのオンライン研修講座に掲載しています。
また、発達障害に精通した心理臨床専門家を養成するために、講義と臨床実習を通じたカリキュラムの開発を行っています。

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