2016年8月7日
公開講座:乳幼児期の発達障害の包括的アセスメントと支援
場 所: 名古屋大学教育学部2階大講義室
講 師: 黒田 美保 教授(名古屋学芸大学ヒューマンケア学部こどもケア学科)
8月9日(日)に、本学教育学部大講義室において、黒田美保先生(名古屋学芸大学ヒューマンケア学部)のご講演「乳幼児期の発達障害の包括的アセスメントと支援」があり、臨床心理士や関連する大学院生等100名を超える参加者がありました。
ご講演では、エビデンス・ベースド・プラクティス(根拠に基づく実践)の考え方をもとに、発見→評価(アセスメント)→支援の流れを、最新の実践理論をもとに丁寧にお教えいただきました。乳幼児期の発見に用いられているM-CHAT(Modified Checklist for Autism in Toddlers) については、具体的に行動観察のポイントや保護者へのフィードバックの方法などもお話しいただき、すぐにでも我々の臨床に役立つように感じました。国際的に評価の高い自閉スペクトラム症の診断方法であるADOS-2(The Autism Diagnostic Observation Schedule Second Edition)については、開発の経緯や実際の使用方法なども含めてお話がありました。そして、包括的アセスメントの観点から、知的評価、診断とともに適応行動についても評価することが必要であると述べられ、Vineland Ⅱ(Vineland Adaptive Behavior Scales Second Edition)についても解説いただきました。最後に実際の事例を通して、包括的なアセスメントから個別的な支援プランを立てる流れについて教えていただきました。
最後に、先生が最近取り組まれているコミュニティーベースの早期支援方法であるJASPER (Joint Attention, Symbolic Play, Engagement, & Regulation)について、ご紹介いただきました。地域の保育園等で実施でき、子どもの共同注意を促進して、遊びの多様性を発達させると同時に相互的な関わりをはぐくむことを目指しているそうです。
最新の評価・支援方法について、とてもわかりやすく、実際の臨床実践に生かせるようなお話でした。